大陸横断鉄道の緩い時間
「インディアンパシフィック」3泊4日の旅。
今日は旅日記の引用を中心に、その緩い時間をご紹介します。
下の写真は、一等客室の乗客に配られた小冊子の1ページです。
「草原を走るインディアンパシフィックをカンガルーが見守る」の図。
お気に入りの写真です。
最初の朝
【旅日記引用】
6:00。明るくなってきたので目が覚める。デッキに行って明けたばかりの朝日を見る。あたりは一面の平原。カリフラワーのような木がいっぱい。快晴。
ベッドを上げてモーニングコーヒー。ラウンジへ行くと昨夜の青年と謎の女がいる。この女はいつも「Boring」と言っている。写真を撮って部屋へ戻る。
昨夜は思ったよりよく眠れた。ゆっくり走るせいだろう。速くて80km、遅いと10kmくらい。よく止まる。
一度止まった時デッキで外を見たら、給油していた。貨物とのすれ違いのための停車もあるようだ。今どこだろう。
世界一長い直線(478km)
【旅日記引用】
ついにナラボー平原に入った。それまでカリフラワーやブロッコリーがたくさんあったが、平原に入ると草と赤い土と石だけである。
午前中はウトウトしながらズーッと景色を眺めていた。カンガルーが何匹もピョンピョン跳ねていった。鷲も時々悠々と飛んでいた。こんなに簡単にカンガルーをたくさん見れるとは思わなかった。
列車は4時間遅れである。ここまで遅れるとは。シドニーに着くのはいつになることか。まあいいか。
現在、ザ ロンゲスト ストレート走行中。
ナラボー平原では世界一長い直線(478km)を走ります。
東京-京都間に相当する距離が、ずっとずっと直線です。
下の写真はパノラマなので、クリックすると拡大できます。
クック駅
この鉄道旅のある意味クライマックス「クック駅」。
ナラボー平原の真ん中にポツンとある駅です。
貨物列車とのすれ違いと給油のために30分停車します。
周りには何もなく、街は静かで人気が感じられません。
プラットホームもなく、地面に直接降ります。
列車の写真を撮りながら、その荒涼感とゆったりとした時間を楽しみました。
【旅日記引用】
思った通りの小さな駅。30分停車中に写真を10枚撮る。
土産物屋があるというので行ってみると、大したものはない。「もっとうまくやれば儲かるのに」と思う。
それをやらないところがいいような気がしますけどね。
英会話について
【旅日記引用】
とにかく積極的に話しかけ、英会話の勉強しようと心がけてきたが、少し疲れてしまった。今日一日話しかけるのを休んで、本を40ページ読んだら復活し、夜は食事で同席の人たちと話せた。日本語に飢えていたのだろう。明日も頑張ろう。
当時は向上心がありましたね。若かったです。
今は楽に楽しむことしか考えてません。
夜空
【旅日記引用】
寝る前に電気を消してブラインドを上げたら、星がいっぱい見えた。昨夜は気がつかなかった。列車の灯り以外は何も光がないのだから、よく見えるはずである。
オリオン座が北東に見える。日本では南だ。
ハーフウェイポイント(中間地点)を通過。
ポートオーガスタと小麦畑
【旅日記引用】
3:20AM。目が覚めると街中だった。ポートオーガスタ着。真っ暗。駅が短いので4回に分けて客を降ろす。
6:30AM。朝食。車窓からは一面の小麦畑。ときどきカンガルー、馬、牛、羊、鶏が見える。曇りだ。
アデレードで方向転換
【旅日記引用】
一時は4時間遅れだったのに、かなり取り戻し30分遅れで着いた。
機関車を入れ替えて方向をかえる。ようやく前向きに景色が見れる。
線路はアデレードでスイッチバックのように走行方向が変わります。
夜更かし
【旅日記引用】
午後やや風邪気味。体調イマイチなので早く寝ようと思ったが、結局0:30AMまで青年と飲む。少し飲みすぎたが楽しかった。本当に。「It's your shout!」
最後の夜です。終点が近づきます。
シドニー到着
【旅日記引用】
朝食後、食事が一緒だった老夫婦と青年に別れを言い、部屋で休んでいると、9:45AMついにシドニー到着。最高だった。
のんびり優雅な列車の旅はおしまい。
当時はスマホもなかったのに、3泊4日も退屈せずに過ごせました。
忘れられない旅になりました。楽しかったなあ。
次回
13日間の旅の第2ステージが終了しました。
次回はシドニー市内。その後、旅は第3ステージに入ります。
つづく
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