レトロで少し怖い駅
東成田駅はいろんな意味で興味深い駅です。
年間旅客数4000万人の成田空港のど真ん中にありながら、1日の乗降客数はわずか2000人足らず。
成田空港駅として開業後、その後役割を他駅に譲り、さらに新線延伸という紆余曲折を経ています(後述)。
駅舎やホームはさびれ、同時に過去の栄光と哀愁を感じさせます。
実際に行ってみるとレトロというより少し怖いです。
「現代都市の秘境」と言えるかもしれません。
そんな東成田駅に行ってきました。
成田空港駅として開業
第2ターミナルはなく第1ターミナルのみの時代です。
立地は空港敷地のど真ん中ですが、アクセスがよくありません。
ターミナルまで遠く、バスに乗り換えて行く必要がありました。
ですから当時、ほとんどの旅客はリムジンバスか車で成田空港に行きました。
私も旧成田空港駅は2回くらいしか使ってないと思います。
東成田駅に改称
国鉄民営化で成田新幹線計画がなくなり、その予定路線を使ってJRと京成が新線を開業して、現在の成田空港駅ができました。
利用者数は激減し、一部の空港関係者のみが利用する駅となりました。
さらに2002年に東成田駅の先に1駅だけ延伸する芝山鉄道線が開業し、現在に至ります。
秘密の通路
さて、実際に現地に行った様子をご紹介します。
今回はいきなり東成田駅に行くのではなく、まずJRで空港第2ビル駅に行きました。
秘密の通路を通るためです。
せっかく空港に来たので展望デッキにでも行きたいところですが、今回は時節柄ターミナルには一歩も入らないことにしました。
さて、JRの駅改札を出て右方向へ行きます。
京成の入口改札を過ぎて右折、出口改札の方向に人の流れに逆らって歩きます。
今は使われなくなったセキュリティチェックエリアを通ると左側に東成田駅への通路入口が見えてきます。
京成で来ると改札を出てすぐなのでわかりやすいですが、JRで来るととてもわかりにくいです。
そして「日本一短い鉄道-芝山鉄道線」の表記が。
通路に入るとまもなく左に曲がります。
無機質な地下道がずっと先まで続いています。
緩やかな坂になっているので終点が見えません。
写真は見やすいように明るく調整してありますが、実際はもっと薄暗いです。
人は一人も歩いておらず、音もしません。
通路には監視カメラが多数設置されています。
途中の看板を見ると、全長500mあるようです。
坂の最下部に到着して突き当りが見えましたが、長い地下通路がひたすら続きます。
広告の枠が多数あるのですが、ほとんど何も掲示されていません。
人が通らないからでしょう。
突き当りで通路が右に曲がります。
しかしまだ先があるようです。
寒々とした通路がただただ続きます。
過去の栄光と哀愁
ようやく地下通路の終点に着きました。
すぐ左に東成田駅の改札口があります。
振り返ると通って来た空港第2ビル駅ヘの通路。
そして改札外はかつての成田空港の玄関口の栄光を感じさせる光景が。
立派な壁画があり、大きな広告スペースや柱を囲むプラスチックベンチ。
壁で囲われたスペースがあり、上部から中が覗けます。
スカイライナー専用の入口が見え、かつて売店や飲食店があった場所のようです。
それなりに大きなスペースで、当時の設備に白い布がかけられてそのまま残っているようでした。
階段を上って地上に出て見ます。
エスカレーターは動いていません。
成田空港駅だった時は、ここからターミナル行のバスが出ていたのでしょう。
今は人も車も全く通りません。
管制塔が間近に見えて、ここが第1ターミナルと第2ターミナルの間であることを思い出します。
いよいよ怖いホームへ
階段を下りて改札口に戻ります。
「当駅発の電車は、約40分に1本です」の文字が。
券売機で切符を買いました。
改札を入ると精算所だったと思われる窓口があり、ホームへ続く階段があります。
ホームに降りると大きな看板がありますが広告はありません。
ホームで電車を待つ乗客はゼロ。
30年間も時が止まっている
ホームは島式の2面4線。
向こう側に見える2線はかつてのスカイライナー専用ホームで、現在は閉鎖されています。
目を凝らして見ると駅名「なりたくうこう」の文字が。
他にも広告やベンチが1991年当時のまま。
なんと30年間も時が止まっています!
写真は文字が読めるように調整してありますが、実際はもっとずっと暗くて廃墟感が漂っています。
バイオハザードの世界
ホームを少し歩いてみます。
乗務員控室がありました。
中を覗くとテーブルと椅子だけでなく、電話や扇風機に座布団やビニール傘まであります。
使っていたころの生々しい臨場感があって怖いですね。
バイオハザードの世界です。
こんな感じで東成田駅を十分堪能することができました。
満足満足。
芝山鉄道
さて、せっかくなので芝山鉄道に乗って終点まで行ってみます。
下の路線図を見ておさらいです。
かつて京成の終点だった(旧)成田空港駅は東成田駅になり、新たに空港第2ビル駅と(新)成田空港駅に行く新線ができました。
その後に東成田駅から芝山千代田駅まで延伸されたのが芝山鉄道線です。
さらにその後、成田スカイアクセス線ができています。
芝山鉄道は成田空港問題の関連で開業することになった第三セクターです。
紆余曲折があり会社設立から開業まで21年かかりました。
区間は東成田-芝山千代田の1駅のみで「日本一短い鉄道」です。
駅ナンバリングでは芝山千代田が「SR01」ですが、「SR02」の駅はありません。
東成田を出てしばらく地下を走り、地上に出ると飛行機が見えます。
芝山千代田駅のホームからも空港の施設と飛行機を眺めることができます。
念願の東成田駅
東成田駅はずっと前から行きたかった場所です。
いえ、行こうと思えばいつでも行けたんです。
でも行かなかった。ひとえに行動力のなさです。
私にはそういう場所がたくさんありました。
でも今回のコロナで「行ける時に行かないと行けなくなる」と思い知りました。
そして「行けるうちに行く。躊躇せず直ちに。優先順位の高い順に。」と強く思いました。
この光景をこの目で見ることができ、本当によかったです。
次回
この後、成田山に寄り道しました。
次回はその様子を書いてみます。
つづく
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